この記事は、LLMO・AIO対策の支援と、生成AI上での企業の見え方を調べる診断を実際に行っているHabinyのコンサルタントが、診断の実務で得た知見をもとに執筆しています。
「ChatGPTで業界のおすすめを聞くと、競合は出てくるのに自社の名前がない」。こうした相談が、BtoB企業のマーケティング担当者から増えています。ところが多くの企業は、AIの回答に自社がどれくらい出ているかを測っていません。測っていないので、原因も打ち手も決められない状態です。
LLMO診断は、この「AI検索での自社の現在地」を測る作業です。本記事では、診断の種類と見るべき指標、自社で進める手順、結果の読み方の注意点までを、実務の目線で解説します。
💡この記事でわかること
- LLMO診断の2つの種類(サイト診断/AI回答診断)と、どちらから始めるべきか
- 自社で実施できるLLMO診断の6ステップと、見るべき5つの指標
- 診断結果の読み違いを防ぐポイントと、問い合わせ獲得につなげる打ち手
【AIに「選ばれる」企業へ。】
LLMO診断とは?AI検索での「自社の現在地」を測ること
LLMO診断とは、ChatGPT・Gemini・Google検索のAIによる概要(AI Overviews)などの生成AIが、自社をどのくらい取り上げ、どう説明しているかを調べることです。結論から言うと、診断の目的は「点数を出すこと」ではありません。次に何をすべきかを決めるための現状把握です。
LLMO対策そのものの考え方は、LLMO対策とは?SEO・AIOとの違いや具体施策で詳しく解説しています。この記事では「測る」ことに絞ってお伝えします。
LLMO診断・AIO診断・GEO診断の違い
呼び方は複数ありますが、指している作業はほぼ同じです。LLMO(大規模言語モデル最適化)、AIO(AI最適化)、GEO(生成エンジン最適化)は、いずれも「生成AIの回答で自社が取り上げられるようにする取り組み」を指します。支援会社やツールによって呼び方が違うだけなので、名称より「何を調べる診断か」で選ぶのが確実です。
SEO診断との違い
SEO診断は検索結果での順位を見ます。LLMO診断はAIの回答文と、その根拠として引用されたページを見ます。違いを整理すると次のとおりです。
項目 | SEO診断 | LLMO診断 |
|---|---|---|
見る対象 | 検索結果ページでの順位、サイトの内部構造 | 生成AIの回答文と、その引用元のページ |
主な指標 | 順位、表示回数、クリック数、流入数 | 言及率、推奨のされ方、引用元、情報の正確さ |
競合の見え方 | 同じキーワードで上位にいるサイト | 同じ質問への回答で名前が挙がる企業 |
成果の出方 | 検索流入、サイト内のCV | AI経由の認知、指名検索、問い合わせ |
ただし、両者は別物ではありません。AIは回答をつくる際にWeb上の情報を参照するため、SEOで積み上げたコンテンツがそのままAIの引用元になることもよくあります。
いまLLMO診断が必要な理由
理由は、AI検索の利用がはっきり伸びているのに、その中での自社の見え方は放っておくと分からないからです。博報堂DYグループのHakuhodo DY ONEは、第三者のパネルデータをもとに、国内のAI検索のトラフィック総量が前年比で約2.3倍になったと分析しています。同じ分析では、従来型の検索を含む検索全体も前年比約110%で、AIに置き換わったのではなく検索行動そのものが広がっているとされています。
出典:Ahrefsブログ「Hakuhodo DY ONE は、いかに AI 検索時代の市場変化をデータで読み解くのか?」(2026年6月時点のデータ・2026年10月21日確認)
つまり、SEOをやめてAI対策に乗り換える話ではありません。SEOの成果に加えて、AIの回答の中でも選ばれているかを確かめる必要が出てきた、ということです。BtoBでは、発注先の候補を絞る段階でAIに「おすすめの会社」を聞く担当者もいます。そこで名前が出ないと、比較検討の土俵にすら上がれません。
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LLMO診断は2種類ある:「サイト診断」と「AI回答診断」
「LLMO診断」と呼ばれるものには、中身がまったく違う2種類があります。ここを混同すると、診断を受けたのに打ち手が決まらない、ということが起きます。
サイト診断:AIに読み取られやすい状態かを点検する
自社サイトの作りを点検する診断です。URLを入力すると自動でチェックする無料ツールや、項目を自分で確かめるチェックリストの多くはこちらに当たります。主に次のような点を見ます。
- 構造化データ(会社情報・FAQなど)が正しく入っているか
- AI事業者のクローラーをrobots.txtで拒否していないか
- 結論が先に書かれ、見出しと本文の対応が明確か
- 運営者・執筆者・一次情報など、信頼性の根拠が示されているか
短時間で無料で実施できるのが利点です。一方で、実際にAIが自社をどう回答しているかは分かりません。サイトが整っていても、AIが別の比較記事を根拠に競合だけを推奨している、というケースは珍しくありません。
AI回答診断:実際の回答で言及・推奨・引用されているかを測る
見込み客がAIに投げそうな質問を用意し、実際の回答で自社と競合がどう扱われているかを測る診断です。分かるのは次のような点です。
- どの質問で自社の名前が出て、どの質問で出ないか
- 競合と比べて、どのくらい名前が挙がっているか
- AIがどのサイトの情報を根拠に回答しているか
- AIが語る自社の情報(サービス内容・料金など)が正しいか
手間はかかりますが、「なぜ出てこないのか」「どこを直せばよいか」まで掘り下げられるのはこちらです。
どちらから始めるべきか
状況 | まず行う診断 |
|---|---|
サイトの基本整備(構造化データ・会社情報など)に手を付けていない | サイト診断で抜け漏れを潰す |
競合はAIに出てくるのに自社が出ない理由を知りたい | AI回答診断で原因を特定する |
LLMO対策の予算や優先順位を社内で決めたい | AI回答診断で競合との差を数値で示す |
すでにLLMO対策を進めていて効果を確かめたい | 同じ質問でAI回答診断を定点で繰り返す |
事業成果につながる判断をしたいなら、最終的にはAI回答診断が欠かせません。以降はAI回答診断を中心に解説します。
LLMO診断で見るべき5つの指標
①無指名の質問での言及率
自社名を含まない質問(例:「BtoB向けのSEO支援会社でおすすめは?」)に対して、回答に自社の名前が出た割合です。最も重要な指標です。自社名を含む質問では、ほぼ必ず自社が登場するため、それを混ぜると数字が実態より良く見えてしまいます。
②推奨のされ方
名前が出ていても、扱いには差があります。「代表的な会社」として最初に名指しされているのか、10社並んだ一覧の1社なのか、注意点とセットで紹介されているのか。回答文を読んで、扱いの質まで確かめます。
③引用元のドメイン・ページ
AIが回答の根拠として示したサイトです。自社サイトなのか、業界の比較メディアなのか、競合のサイトなのか。ここを見ると、AIがどこから情報を得ているかが分かり、打ち手の場所が決まります。
④競合との比較と、AIごとの差
自社単体の数字だけでは良し悪しを判断できません。同じ質問で競合が何回出たかと並べて見ます。また、ChatGPTでは自社が優勢でもGeminiでは劣勢、のようにAIごとに結果が逆転することがあります。合計値だけを見ず、AI別にも分けて確認します。
⑤AIが語る自社情報の正確さ
AIが古い料金や終了したプラン、誤ったサービス内容を回答していないかを確かめます。誤った情報で紹介されると、問い合わせの段階で認識のずれが生まれます。逆に、ここは原因が特定しやすく、短期間で直せることも多い指標です。
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LLMO診断のやり方|6ステップ
AI回答診断を自社で進める手順です。ツールの有無にかかわらず、考え方は共通です。
Step1:診断する事業と目的を決める
会社全体ではなく、診断する事業・サービスを1つに絞ります。複数事業を一度に診断すると、質問も競合もばらばらになり、結果が読めなくなります。あわせて「AI経由の問い合わせを増やしたい」「比較検討の候補に入りたい」など、診断結果を何の判断に使うかを決めておきます。
Step2:調査の「軸」を設計する
軸とは、どんな探し方をする人を想定するかです。大きく2つに分かれます。
- サービス軸:カテゴリ名を使って探す人の質問(例:「LLMO対策の支援会社を比較したい」)
- 課題軸:カテゴリ名を知らず、困りごとから探す人の質問(例:「ChatGPTで自社が紹介されないのはなぜ?」)
この2つは1回の調査に混ぜないことが重要です。混ぜると、どちらの文脈で強いのか弱いのかが読めなくなります。まずはサービス軸を主軸にし、必要に応じて課題軸を2本目として別に集計します。
Step3:競合を検証して絞る
比較する競合を3〜5社に絞ります。このとき、社内で「競合」と呼んでいる会社をそのまま使わず、次の2点を確かめます。
- 提供形態や商品の種類が、本当に同じカテゴリか
- 業界の比較記事やまとめ記事で繰り返し名前が出る主要な会社が、漏れていないか
カテゴリの違う会社が混ざっていたり、主要な競合が抜けていたりすると、勝ち負けの判断そのものがずれます。
Step4:質問(プロンプト)を設計する
軸ごとに、見込み客が実際に投げそうな質問を用意します。Habinyでは1つの軸につき20問程度を目安にしています。設計のポイントは次のとおりです。
- 自社名を含む「指名の質問」と、含まない「無指名の質問」を分けて用意し、集計も分ける
- 「おすすめは?」「比較すると?」「選び方は?」など、検討段階の違う質問を混ぜる
- 社内の言葉ではなく、顧客が使う言葉で書く
Step5:測定する
用意した質問を、対象のAIに投げて結果を記録します。少数の質問なら手作業でも可能です。その場合は、ログインしない状態で質問する、記録した日付を残す、などの条件を揃えます。AIの回答は同じ質問でも変わることがあるため、1回の結果で断定しないことも大切です。
質問数が多い場合や定点で追いたい場合は、生成AIでのブランド言及を計測するツールを使います。Habinyでは、Ahrefsの機能を使って言及数と引用元を測定しています。
Step6:引用元の記事を実際に読み、打ち手に落とす
最後に、引用された回数の多いページを上から5件ほど実際に開いて読みます。確認するのは次の3点です。
- 自社はそのページに載っているか。載っているならどんな扱いか
- 載っている情報は最新か(料金・プラン名・拠点数など)
- 競合はどう書かれているか
同じページ内での自社と競合の扱いの差が、そのまま言及数の差の説明になっていることがよくあります。ここまで読んで初めて、「何を直せばよいか」が具体的になります。
📌 Habinyマーケ担当者のコメント
Habinyでは、LLMO診断で最も差が出るのは、AIの回答と引用元を読み解き、改善施策へ落とし込む工程だと考えています。露出の有無を集計するだけでは、選ばれない理由は分かりません。
実際の引用ページと自社の情報を照合し、不足する根拠と掲載先を具体化することで、診断を制作・改善につなげられます。
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診断結果の読み方でよくある3つの落とし穴
測定までできても、読み方を誤ると逆の結論を出してしまいます。診断の実務で特に起こりやすい3つを紹介します。
①総量の数字だけで判断する
言及数の合計に、自社名を含む質問の結果が混ざっていないかを必ず確かめます。指名の質問では自社が出て当然なので、合計では競合に勝っているように見えても、無指名の質問だけで見ると負けている、ということが起こります。比較に使うのは無指名の質問の結果だけ、と決めておくと判断を誤りません。
②「言及ゼロ」を負けと決めつける
自社の言及がゼロでも、競合もすべてゼロなら、それは負けではありません。まだどの会社も取れていない領域だということです。特に課題軸の質問では、どの会社も名前が出ないことがよくあります。先に情報を整えれば、その領域を独占できる可能性があります。結果は必ず競合の数字と並べて読みます。
③引用元を読まずに原因を推測する
引用元の一覧の数字だけを見て、「第三者からの評価が足りない」のように原因を推測するのは危険です。実際に読んでみると、比較記事に自社の古い料金が載っているだけ、掲載依頼をすれば済む、といった短い打ち手が見つかることがあります。推測で大掛かりな施策を組む前に、まず読むことが近道です。
LLMO診断の方法比較:無料ツール・チェックリスト・専門サービス
LLMO診断の方法は大きく4つあります。目的と社内のリソースに合わせて選びます。
方法 | 分かること | 分からないこと | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
無料の自動診断ツール | 入力したページの構造化データ・クローラー許可などの技術的な抜け漏れ | 実際のAIの回答、競合との差。1ページ単位の診断が多い | まず基本整備の状況を知りたい企業 |
チェックリストでの自己点検 | サイト全体の取り組み状況、社内体制の抜け漏れ | 実際のAIの回答、施策の優先順位 | LLMO対策を社内で始める準備段階の企業 |
手作業でのAI回答チェック | 主要な質問での自社・競合の出方、回答の中身 | 多数の質問での傾向、定点での変化 | 少ない質問数でまず感触をつかみたい企業 |
専門サービスによる診断 | 軸・競合の設計から、言及率・引用元の分析、打ち手の方向性まで | (費用がかかる。内容は会社ごとに差がある) | 原因を特定し、施策の優先順位まで決めたい企業 |
専門サービスを選ぶ際は、「サイト診断だけか、AI回答まで測るか」「無指名の質問を分けて集計しているか」「引用元の中身まで分析するか」を確認すると、内容の差を見極めやすくなります。
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診断後にやるべきこと:SEOと一体で打ち手を組む
診断で分かった原因は、自社サイトの中で直すものと、サイトの外で直すものに分けて整理します。
区分 | 主な打ち手 |
|---|---|
オンサイト(自社サイト) | AIが誤って語っている情報の修正、構造化データの整備、無指名の質問に答える記事の追加、一次情報(自社データ・事例)の掲載 |
オフサイト(自社サイトの外) | 引用元になっている比較記事・まとめ記事の情報更新の依頼、業界メディアやプレスリリースでの言及の獲得 |
オンサイトの打ち手の多くは、SEOのコンテンツ施策と重なります。AIは信頼できる根拠を持つ情報を引用しやすいため、自社にしかない一次情報を記事に盛り込むことが、SEOとLLMOの両方に効きます。一次情報の集め方は一次情報とは?二次情報・三次情報との違いと成果につなげる集め方・使い方で解説しています。
また、BtoBで重要なのは、AIで名前が出ることそのものではなく、その先の問い合わせ・商談です。AI経由で関心を持った人が自社サイトを訪れたとき、判断材料と問い合わせ導線が揃っているかもあわせて見直します。
関連記事:BtoB SEOとは?問い合わせ・商談を増やす戦略と15の実践ステップ【2026年版】
【実例】SEOで積み上げたコンテンツがAI検索経由の問い合わせにつながったケース
世田谷区を拠点とする不動産会社、Tokyo&Internationalの事例です。同社は紹介や一括査定サイトへの依存から脱却するため、Habinyとオウンドメディアでのコンテンツ施策に取り組みました。
課題 | ・WEB広告や一括査定サイトへの依存によるCPA悪化 |
|---|---|
施策 | ・地域・ライフイベント別キーワードに基づく記事制作 |
成果 | ・約8ヶ月で月間アクティブユーザー数2倍超 |
同社代表の壹岐寅彦氏は、インタビューで、AIで検索して同社が出てきたことをきっかけに問い合わせた顧客がいたと話しています。専門家の監修を入れた記事を継続して積み上げたことが、検索流入だけでなく、AIからの紹介という形でも評価され始めた例です。
【実績の記事はこちら】
8ヶ月で月間ユーザー2倍超。地域密着の不動産会社がオウンドメディアで変えた集客の仕組み
【要差し込み:LLMO診断の実例(匿名)/業種・診断の軸・無指名の質問での自社と競合の言及状況・引用元を読んで分かった原因・打ち手】
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LLMO診断に関するよくある質問
Q. 無料のLLMO診断ツールでどこまで分かりますか?
A. 主に、入力したページの構造化データやクローラーの許可設定など、サイト側の技術的な状態が分かります。実際のAIの回答で自社がどう扱われているか、競合と比べてどうかは分からないことが多いため、原因の特定にはAI回答診断を組み合わせます。
Q. LLMO診断はどのくらいの頻度で行うべきですか?
A. 目安は四半期に1回です。AIの回答は、モデルの更新や引用元のページの変化によって動きます。施策を始めたら、同じ質問・同じ条件で定点的に測り、変化を追うのがおすすめです。
Q. 自社だけでもLLMO診断はできますか?
A. できます。本記事の6ステップに沿って、まずは10問程度の無指名の質問を手作業で試すだけでも、競合との差の感触はつかめます。ただし、軸の設計や競合の選び方を誤ると結果を読み違えやすいため、社内で判断が難しい場合は専門家に相談するのも一つの方法です。
Q. SEO診断とLLMO診断は別々に行うべきですか?
A. あわせて行うのが効率的です。AIの引用元には検索で上位にあるページが含まれることが多く、SEOの改善がそのままLLMOの改善につながる場面が多いためです。診断で見つかった課題を、SEOとLLMOの両方の視点で優先順位づけすると、施策の重複を避けられます。
まとめ:LLMO診断は「測って、読んで、決める」ための出発点
LLMO診断は、AI検索の中での自社の現在地を知り、次の打ち手を決めるための作業です。サイトの作りを点検するサイト診断と、実際の回答を測るAI回答診断の2種類があり、事業成果につながる判断には後者が欠かせません。
診断の質を分けるのは、軸と競合の設計、指名と無指名の質問の分離、そして引用元を実際に読むことです。数字だけで判断せず、回答と引用元の中身まで読むことで、「なぜ出てこないのか」と「何から直すか」が見えてきます。
Habinyでは、SEOとLLMO・AIO対策を一体で支援し、AI上での見え方の調査から、コンテンツ制作・改善まで伴走しています。自社がAIにどう見えているかを知りたい方は、お気軽にご相談ください。
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